とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~




家に着くとやっと生気の戻った顔のユーリが『おかえり』と出迎えた。



『兄ちゃん聞いて!ウキョウがバージに触らせてくれるって!』


『そりゃ凄いなぁ。良かったじゃないか。』



コーディが嬉しそうにキッチンに居るミーシャの方に走って行く姿にウキョウは微笑む。



『ありがとうな、ウキョウ。』


『いや、大した事じゃないさ。
それより二日酔いはもう大丈夫か?』


『まだ少し残ってるけど、だいぶ楽になったよ。』



そうかと相槌を打ってから思い出した様にウキョウはユーリの耳に顔を寄せた。



『ミーシャは…機嫌どうだ?』


『ミーシャ?…さぁ…悪くないと思うが、何かあったのか?』


『実は昨日のさ…』



ウキョウは声を潜めて昨日の事をユーリに話した。


それを聞き終えたユーリは大きな溜め息を着いて項垂れた。



『俺マズイ事言ったか?』


『…いや、ウキョウは悪くない。まったく、困ったもんだな…』



ユーリが頭を抱える理由がイマイチ理解出来ず、ウキョウは首を傾げた。



『ミーシャには後で言い聞かせるよ。ウキョウは気にする事ない。』


『ならいいんだが…』



そう返事をするとコーディが戻って来たのに気付いてユーリは会話を終わらせた。



『さあ、昼飯を食べようか。』



ユーリに促されテーブルに着いたが、ミーシャは一度もウキョウと目を合わせなかった。