スクリーンに表示されたこの辺り一帯の地図に目を向ける。




『半年の間にあった少女失踪事件のうち、不可解な物は23件。』



『さっきニックが言ってたヤツ?』



『ああ、そうだ。捜索願が極端に遅く、無事に少女が帰って来た事件の事だ。』




ニックはクリスにも判る様にそう補足した。



アランは頷くと『そして…』と先を続ける。




『彼女らが失踪したのが赤いマークの場所だ。』




地図にポツポツとマークが表れる様子を右京は注意深く見詰めた。




『…妙だな…』




右京の呟きにクリスがチラッとこっちを見た。




『…何が?』



『統一性も無ければパターン性も無い…誘拐じゃないのか?』




誘拐だとすれば、ただ無作為に犯行を重ねたとしか考えられない。




単なる家出の類いなのだろうか…



…いや、ただの家出なら“記憶の欠落”を説明出来ない。



やはり何者かが裏に居る…!




それまで黙っていたクリスがふと口を開いた。




『少女の写真はあるか?顔がみたい。』




『ああ。一人目の少女は15歳、市内の一軒家に住む普通の子だ。』




ロイがモニターにまだ幼さの残る少女の写真を表示させた。