とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~





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その日の午後、ニックのメールでアパートを訪れたのはP2唯一の女性メンバー、シンディだった。



『クロウ!会いたかったわ~!元気?』



『シンディ!!俺も会いたかったよ!』




相変わらず気さくな彼女は右京にハグをして微笑んだ。



その様子を睨む様にジッと見詰めるバージに気付いて『なるほど~』と笑った。



『貴方が“バジリスク”ね?…お人形みたいな子ね…ニックが世話をやきたがるワケだわ~』



『キュートだろ~?…で、“例の件”よろしく頼むよ…』



『OKよ!…さあ、バージ。こっちにいらっしゃい。』




何をしようとしているのか判らないバージは右京を見て不安そうな顔をした。



右京はそんな様子のバージに微笑むと『行っておいで』と背中を押した。



『ついでに彼女に似合う服をもう何着か選んで欲しい。』



『あらあら、世話焼きがここにも居たのね…任せて!』




シンディは楽しそうに『可愛くなって二人を驚かせてあげましょう?』とバージに言った。



彼女はシンディを見上げてちょっと恥ずかしそうに俯いた。




『…私が可愛くなるとマスターは喜ぶでしょうか…?』




『もちろんよ!』




そんな会話をしながら出ていく二人を見送って、右京とニックは顔を見合わせて笑った。