彼女はバスルームから出て来た右京の『バージ、お茶いれて』と言う言葉に嬉しそうにちょこちょこと走って行く。
『……“何も望んでない”ねぇ…』
バージの矛盾した様が可笑しくてニックはクスクスと笑った。
『誤解は解けた?』
『新たな疑問が浮上したよ。』
首を傾げる右京にニックは『ホント残酷だね』と呟く。
『…なんだって?』
『なんでもない。…バージ!俺にもね~』
バージは祭服の様な長いドレスの裾を引きずりながら紅茶を運ぶ。
ニックは転ぶんじゃないかとハラハラしながらその様子を見ていた。
『なぁ…バージの服…目立つよな…』
ソファで紅茶を飲みながらニックにそう言われて彼女を見た。
確かに…。
世間知らずのお嬢様みたいだ。
『…買い物行くか…』
『バージの服!?俺も行きたい!』
『え!?私の服ですか!?だ…大丈夫です、コレ着なれてますし…』
『お前が良くても俺が嫌だ。…よし!行くか!』
右京は着替えを済ませると、オロオロとするバージを連れてニックと共に街へ繰り出すのだった。
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