右京はiPodで軽快な音楽を聞きながら街中を走る。


5km程走った所で公園の芝生の上でストレッチを始めた。



結構な広さの公園でランニングコースとして利用しているのは皆同じらしい。



型稽古を始めた右京を珍しそうに見ている少年達に『なにしてるの?』と話しかけられた。



『武道って判るか?』



『カラテ?』



『そうそう。それと似たようなもんだよ。』



『一緒にやるかい?』と言うと少年達は目を輝かせた。



いくつか型を教えてやると夢中になって身体を動かす少年達が微笑ましい。



『お前達筋がいいよ。身体が柔らかかったらもっと上手く動けるハズだぞ?』



『ホント!?そしたら強くなれるかな…』



『強くなりたいのか?』



『クラスにムカつく奴が居るんだ…』



『みんな迷惑してるから俺達でやっつけたいんだ!』




そう言う少年達に右京は笑って『なるほど。』と頷いた。



『でもそれはちょっと間違ってる。』



右京は『いいか?』と少年達に話し始めた。




『やっつけるだけならお前らもそいつと変わらなくなる。どうせなら守る強さを身に付けろ。』



『守る強さって?』



『お前達がそいつから守ってやればいい。』



少年達は『何が違うの?』と首を傾げた。