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ニックは右京がアパートを出て行くと携帯を開いてアランに電話をかけた。



『今ここを出たよ。』



『どうだい?クロウの様子は…』



『至って普通だよ。』



『“P2”について何か言ってたかい?』



『いや…バジリスクの事は言ってたけど…』




そう言ってからニックは『なあ』と改まってアランに問いかけた。



『クロウの監視って必要なのか?』



『彼はルシファーに接触してる。記憶を無くしたのが彼の意識だけじゃない気がするんだ…』



『ルシファーのせいだって言うんだろ?』




アランはルシファーと対峙した右京に何らかの影響が出ているのではと考えていた。




実際、目に見えて以前と違う点も多い。



それについてはニックも同感で、時々見せる右京の表情に冷たさを感じていた。




“天使”を連想させていたそれは、どちらかというと“悪魔”に近い。



もし何かの拍子にその“悪魔”が姿を現せば、自分達に勝算はないだろう。



『シノブから右京の話は聞いてないのかい?』



『“時々おかしい”とだけ…でもどこがとは言って無かった。』



『なるほど…。どちらにせよ、“保険”は必要だな。』



『例の件は順調なのか?』



『あと一押しだよ。その件で今夜召集をかける。空けといてくれよ?』



そう言い残してアランは電話を切った。



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