とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~




そもそも今日集まったのも「クミが凹んでいる」とセリから連絡を受けたからだ。



自分も右京の事で散々支えて貰った身だ。



何が出来る訳ではないが、話を聞く位なら出来る。



よくよく話を聞いてみると、彼氏であった寛二と別れたのが原因らしい。



寛二は右京の友達だったのもあり、出来れば右京は会話に入って来て欲しくなかった。




別れた原因というのも寛二の“浮気”だとか…




「三年も付き合ってたのに、ほんの数週間前に浮気した女を選んだのよ!?」



クミは悔しくて仕方がないと涙を浮かべた。



「寛二君の事好きだった?」と聞くと、クミは「判らない」と答えた。



「最初はもちろん好きだったわよ?…でも最近はただそこに居るって感じ…」



「わかる!“マンネリ”っていうか、ドキドキがなくなるのよね!?」



「そうなの!」




忍はセリとクミの会話を聞いていて、自分とは明らかに違うと感じた。



黙ってビールを飲む忍に「忍はない?」とセリが振った。



「右京君といて、今でもドキドキする?」



「えっ?…まぁ…するわ。…あ、でも私の場合、遠距離だったから!」



「…そうね…忍の彼氏は“あの”右京君だもんね…」



「イケメンは3日で飽きるって言うけど、右京君は中身もイケメンだもんね…」




ヒガミ混じりの言葉に忍は笑って誤魔化した。