トイレの戸を開けた忍と赤面した女の子が鉢合わせになった。
お互いかなり気まずい…
彼女は恥ずかしそうに下を向いたままトイレから飛び出した。
が、今度は右京の胸にぶつかって「おっと!」と言う声に顔を上げる。
ぶつかった相手が右京だった事に気付くと、彼女は赤い顔を更に赤らめた。
「…ごめんね?…待たせちゃって…」
「あ…いえ…だっ大丈夫です…」
右京は「ありがとう」とニッコリ笑うと上機嫌で店内へと戻って行くのだった。
カウンターに戻って来た右京にゴウは「おい…」と半眼になる。
「黒崎…何があった…」
「何が?」
「何がって…何かあったろ?」
「…別に?」
「ほんっと判りやすいな、お前…」
右京はゴウに何を言われても終始にやけたままだった。
それは右京に限らず忍も同じで、トイレから戻って来た彼女を見てセリとクミは「ヤラシイ」と口を揃えた。
「な…!?…そんなに顔に出てる?」
「出てるも何も、デカデカと書いてあるわよ!」
「人が消沈してるっていうのに…なんなの、アンタ!?」
そう言われて思わず「うっ…」と言葉を詰まらせた。

