トイレのある細い廊下で忍を捕まえて壁に彼女を押し付けた。



「…退かないと漏らすわよ…?」



「…下品だな…」




右京は忍の顎にそっと手を添えると顔を近付けた。



「…その口塞いでいいか?」



「…駄目。」



「…それは“お預け”って事か?」



「そうよ…?」




鼻が触れ合う距離が余計にもどかしい。




トイレから出てきた女が右京達を見て「ひゃっ!」と声をあげてまたトイレへ引っ込んだ。




「…このままだとあの子、トイレから出れないぜ?」



「それは可哀想よ。」



「…俺も可哀想だろ?」



右京の台詞に忍はちょっと吹き出した。




「…ヤキモチ?」



「だったら何よ…」



「すげぇ嬉しい…」




右京は忍を抱き締めて結局口を塞いだ。



歯列をなぞる右京の舌に忍が吐息を漏らす。



「…その声、エロい…」



「だって…右京が…」




何度となく右京の舌に捕まる。




「…仕事…バックレたい…」



「だ…駄目よ!ちゃんと戻って!」




コツンと、額と額をくっ付けると右京は「はい…」と小さく返事をした。