それでも不服らしい右京はタバコをくわえたまままだムッとしていた。



ゴウは「あんましつこいと嫌われるぞ」と右京をからかった。




「忍に限りってそれはない!」



「大した自信だな…」




そんな会話をしていると、「ビール追加!」と忍がカウンターの右京に声をかけた。




「しつこい男ってウザイよな?忍ちゃん。」



「え?…そうね…ウザイわね…」



「ええっ!?俺も!?」



「右京?右京も時々ウザイわよ?」




キッパリと言い切る忍に右京がショックを受けて項垂れる。




「あ~…なるほど。うちらのお喋りに混ざりたいんでしょ?駄目よ!今日は女だけって決めてるの。」




不貞腐れる右京に忍は「帰ったら話すから」と微笑んで席に戻って行った。




「だから言ったろ?」



「俺、立ち直れない。」




右京がそう呟くとゴウは腹を抱えて笑った。




「お前は単純だからすぐ立ち直るだろ!」



「…絶対バカにしてるだろ…」



「黒崎は忍ちゃんに対してのソレさえなければなぁ…」




右京は仕事をこなしながら「なんとでも言え!」と悪態をついた。




ボックス席のテーブルを片付けていると不機嫌が顔に出ていたらしく、「右京君、ご機嫌斜め?」と常連に声をかけられた。