右京の髪の毛ワシャワシャと洗いながら他愛もない話をする。
「ねぇ、忍?」
「なに?」
「俺、忍の事大好きだよ。」
「ぷッ…何よ、いきなり…知ってるわよ。」
「そか…ならいいんだ。」
先に右京がバスルームを出て行くと、忍は独りさっきの言葉の意味を考える。
右京はまた自分の前から消えてしまうつもりなのかとか、嫌な考えしか浮かばない。
もう考えるのは止めようと思った時、廊下の方から凄い物音が聞こえて飛び上がった。
「なッ…何!?」
その後で聞こえて来た父と右京の声…。
忍は“またか”と溜め息をつくとその騒ぎに気付かなかったフリをするのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
翌日の朝食時の空気は重く、忍の母である静も流石に居づらさを感じた様だった。

