とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~





右京の髪の毛ワシャワシャと洗いながら他愛もない話をする。




「ねぇ、忍?」



「なに?」



「俺、忍の事大好きだよ。」



「ぷッ…何よ、いきなり…知ってるわよ。」



「そか…ならいいんだ。」



先に右京がバスルームを出て行くと、忍は独りさっきの言葉の意味を考える。




右京はまた自分の前から消えてしまうつもりなのかとか、嫌な考えしか浮かばない。



もう考えるのは止めようと思った時、廊下の方から凄い物音が聞こえて飛び上がった。



「なッ…何!?」




その後で聞こえて来た父と右京の声…。



忍は“またか”と溜め息をつくとその騒ぎに気付かなかったフリをするのだった。






   ◇◇◇◇◇◇◇◇


翌日の朝食時の空気は重く、忍の母である静も流石に居づらさを感じた様だった。