手帖は1月から始まっているタイプで、丁度自分が失踪した直後からだった。
予定の他に時々その日の出来事が書いてある。
自分が居ない間に忍がどんな生活をしていたのかが判る。
─…これ見たのがバレたら怒られるだろうなぁ…
そう思いながらもページを捲る。
2月辺りでピタリと手を止めた。
“図書館で原君に遭遇。告白される─”
思わず眉を潜める。
“─でもやっぱり右京がいい。…右京に会いたい…─”
ちょっと胸が熱くなる。
「…この原ってヤツ、帰国したらシバく。」
4月のページになるとほとんどが仕事の予定だった。
“─新人歓迎会。飲み会の席で松山先輩に口説かれた。”
「…松山…コイツもシバく。」
“仕事でミス。編集長に怒鳴られた。凹む…”
「…編集長もシバく。」
この調子だとかなりの人数をシバかないとならなくなる。
…やめた。これ以上、見る気がしねぇ…
そう思って手帖を閉じた時、何かが挟まっているのに気付いた。
それは漆黒の羽根…
「…これって…」
紛れもなくそれは自分の羽根だった。

