ガクガクと震えてまともに立てない忍の足を乱暴に掴み上げる右京。
荒々しい自分に忍が困惑していると判っていても理性が効かない。
自分の中にある感情の““欲望”が“愛しさ”を上回る。
忍の全てが欲しい…
─喰ッテシマイタイ程ニ─
右京は絶頂の寸前で喘ぐ忍の肩に咬み付いた。
「痛ッ…!」
乱れた呼吸を整えながら、忍を抱き締めたままその場にズルズルと座り込んだ。
「…ごめん…理性がぶっ飛んだ…」
「…どうしたのよ…右京…」
「俺…何かおかしい…制御出来なかった…」
シュンと項垂れる右京の頭を忍は優しく撫でた。
「いいのよ…大丈夫…」
忍の肩の咬み傷が視界に入る。
「…ごめんね…痛かった?」
右京は忍の傷をペロッと舐めた。
微かに血の味がして、それが何故か甘く感じる。
ハッと我に返ると、自分の異変に気付いて額に手を当てた。
─俺の中の“悪魔”が蠢いてる。
シャワーを浴びに行った忍を見送って右京はソファーに凭れて目を閉じた。
そして自分の胸のロザリオを無意識に握りしめ祈った。
“どうかこれ以上、忍を傷つけませんように”と─

