『ねーちゃん、腹減った~!』
コーディが右京の隣で項垂れる姿を見てミーシャは溜め息をついた。
『俺も!忍、何か作って!』
『よし、ミーシャ!何か作ろうか!』
背中を押してミーシャとキッチンに向かう途中、忍は肩越しに右京を振り返って微笑んだ。
右京もそんな忍に目を細めた。
忍が右京の考えてる事をちゃんと了解したみたいで安心した。
─俺と忍が一緒にいる所なんかあんま見たくないだろしな…
本当は忍の隣に居たかったが、そんな子供染みた事でミーシャを傷付けたくない。
『ねぇ、ウキョウ…。さっきの話なんだけどさ…』
『ん?何の話だ?』
『“オトコ”の話!…教えてよ!』
右京はクスクス笑いながら『秘密だぞ?』と言ってコーディを外に連れ出した。
それからコーディは夕飯の時も忍の顔を一切の見なかった。
…というか“ウキョウとシノブが…”と思うと恥ずかしくてまともに見れなかったのだ。
忍は自分を見ないコーディに首を傾げたが、右京は笑いを堪えるのが大変だった。
「ウブと言うか何と言うか…」
街に戻る道の途中で右京がポツリと呟いた。

