とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~





『ねーちゃん、腹減った~!』



コーディが右京の隣で項垂れる姿を見てミーシャは溜め息をついた。




『俺も!忍、何か作って!』




『よし、ミーシャ!何か作ろうか!』




背中を押してミーシャとキッチンに向かう途中、忍は肩越しに右京を振り返って微笑んだ。



右京もそんな忍に目を細めた。



忍が右京の考えてる事をちゃんと了解したみたいで安心した。




─俺と忍が一緒にいる所なんかあんま見たくないだろしな…




本当は忍の隣に居たかったが、そんな子供染みた事でミーシャを傷付けたくない。




『ねぇ、ウキョウ…。さっきの話なんだけどさ…』



『ん?何の話だ?』



『“オトコ”の話!…教えてよ!』



右京はクスクス笑いながら『秘密だぞ?』と言ってコーディを外に連れ出した。




それからコーディは夕飯の時も忍の顔を一切の見なかった。



…というか“ウキョウとシノブが…”と思うと恥ずかしくてまともに見れなかったのだ。



忍は自分を見ないコーディに首を傾げたが、右京は笑いを堪えるのが大変だった。




「ウブと言うか何と言うか…」



街に戻る道の途中で右京がポツリと呟いた。