─あんなウキョウ、見たことがない…
明らかに自分に対する態度と違いすぎて唖然とする。
『ちょっと!…場所を弁えなさいよ!』
ブツブツと文句を言う忍と右京を交互に見てミーシャは眉を寄せた。
『別人みたい…』
『よく言われてるわ…』
困った様に笑う忍に“大人の女”のオーラを感じた。
自分にはない…。
ミーシャは完璧に負けたと思った。
『運ぶわね?』
『あ、はい。』
いっそ感じ悪い人だったらよかったのに、嫌味のない忍は好感の持てる人だった。
この人から右京を奪おうと考えていたかと思うと恥ずかしい。
コーヒーを置いて戻って来た忍は『お砂糖ある?』とミーシャに聞いた。
『あの…私…』
何か言いたそうなミーシャの様子に忍はフッと笑って静かに首を振った。
『いいのよ…気にしないで。』
『聞いたんですか!?』
『ん。私達には隠し事は必要ないわ。それに…』
忍はミーシャからお砂糖を受け取るとニッコリと微笑んだ。
『まもに右京の相手が出来るのは私くらいだと思うわよ?』
忍は『アイツちょっとおかしいから』とクスクスと笑った。

