とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~





─あんなウキョウ、見たことがない…




明らかに自分に対する態度と違いすぎて唖然とする。




『ちょっと!…場所を弁えなさいよ!』




ブツブツと文句を言う忍と右京を交互に見てミーシャは眉を寄せた。




『別人みたい…』



『よく言われてるわ…』



困った様に笑う忍に“大人の女”のオーラを感じた。



自分にはない…。




ミーシャは完璧に負けたと思った。



『運ぶわね?』



『あ、はい。』




いっそ感じ悪い人だったらよかったのに、嫌味のない忍は好感の持てる人だった。



この人から右京を奪おうと考えていたかと思うと恥ずかしい。




コーヒーを置いて戻って来た忍は『お砂糖ある?』とミーシャに聞いた。



『あの…私…』




何か言いたそうなミーシャの様子に忍はフッと笑って静かに首を振った。




『いいのよ…気にしないで。』



『聞いたんですか!?』




『ん。私達には隠し事は必要ないわ。それに…』



忍はミーシャからお砂糖を受け取るとニッコリと微笑んだ。




『まもに右京の相手が出来るのは私くらいだと思うわよ?』




忍は『アイツちょっとおかしいから』とクスクスと笑った。