学校から戻ったコーディは右京の姿を探す。
『おかしいなぁ…シノブ連れてくるって言ってたのに…』
スーザンおばさんの家から戻ったミーシャと玄関で鉢合わせになる。
『ねぇちゃん!ウキョウは?』
『さぁ…まだ帰ってないわよ?』
『ちぇ…楽しみにしてたのに…僕探して来る!』
ミーシャが止めるのも聞かずに外に飛び出して行った。
後方で何か言って居る気がしたが気にせず丘へと急いだ。
渓谷から吹き上げる風に目を細めて辺りを見回す。
『ここじゃないのかな…』
そのまま湖へと足を向けた時、頭上にバージが見えた。
『やっぱ湖か!』
日の光りに輝く水面が見えた時、急降下してきたバージに驚いて『うわっ!』と短く悲鳴をあげた。
「バジリスク?…誰か居るの?」
異国の言葉が聞こえて来てコーディは静かにそっちへと歩き出した。
長い黒髪に大きな黒い瞳…
直ぐに“シノブ”だと判った。
声を掛けようとすると、彼女は人差し指を立てて口元に持って行く。
そして自分の膝を指差した。
コーディが近付いてみると、気持ち良さそうに寝息を立てる右京が居た。
コーディと目が合うと彼女はニッコリと微笑んだ。

