右京は眠そうに目を閉じて「このキズは印なんだ」と言った。
「自分の役目もロクに果たせなかった“烙印”みたいなもんだよ…あの時俺はルシファーと刺し違える覚悟だった。」
─ルシファーを消し、自分も消える。
それがどうだ!!
俺はただ記憶と翼を失っただけ…
恐らくルシファーも生きている。
「なっさけねぇ…何が熾天使だ…!こんな役立たず堕天使にすらなれねぇって…」
珍しく弱味を見せた右京に忍は驚いた。
「俺は堕天使の“成り損ない”だ。その印なんだよ…」
「それでも…私は感謝してる。…生きててくれてありがとう…」
忍も右京に寄り添うと目を閉じた。
二人を穏やかな風が包む。
─今だけ休息を─
右京は寄り添う忍を抱き寄せて暫し眠りに落ちた。
久しぶりに幸せを感じた一時だった。
◇◇◇◇◇◇◇◇

