とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~






右京は眠そうに目を閉じて「このキズは印なんだ」と言った。



「自分の役目もロクに果たせなかった“烙印”みたいなもんだよ…あの時俺はルシファーと刺し違える覚悟だった。」



─ルシファーを消し、自分も消える。



それがどうだ!!



俺はただ記憶と翼を失っただけ…



恐らくルシファーも生きている。



「なっさけねぇ…何が熾天使だ…!こんな役立たず堕天使にすらなれねぇって…」



珍しく弱味を見せた右京に忍は驚いた。



「俺は堕天使の“成り損ない”だ。その印なんだよ…」



「それでも…私は感謝してる。…生きててくれてありがとう…」




忍も右京に寄り添うと目を閉じた。





二人を穏やかな風が包む。




─今だけ休息を─




右京は寄り添う忍を抱き寄せて暫し眠りに落ちた。




久しぶりに幸せを感じた一時だった。






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