恥ずかしがり屋な君と無自覚な私



教室につくと、窓側の席に視線を向ける。


今日は…来るのかな?


「小春~?どうしたの?」


みっちゃんは、すでに廊下側の四番目の自分の席に座っていた。


私の席はみっちゃんの後ろの席。


自分の席につくとカバンを横にかけた。


「ううん、なんでもない」


「橋本の席、見てなかった?」

「えっ?…あっ…うん…」


「橋本のことそんなに好きなの?あいつ不良でしょ?」


みっちゃんは頬杖をついて橋本くんの席を見る。


「不良じゃないよ!そりゃ…金髪で…ピアスつけて、自己中だけど…」


そう、私が好きなのは、橋本 彩翔(ハシモト サイト)くん。


ケンカをしてて負けたことがないとか、友達と笑って話してるけど、あれは本当の笑顔じゃないとか…。


変な噂が沢山あるけど…だけど、本当はとっても恥ずかしがり屋で優しいの…。ただ少し、気持ちを伝えるのが苦手で不器用なだけだと私は思う。


「分かったよ、本当に橋本のこと好きなんだね」


「うん…」


「美由~!」


窓がいきなり開いて冬聖くんが顔を出した。


ビビビ…ビックリしたぁ~…。心臓飛び出るかと思った…。


「鮎川、あんたほんっとこりないね…」


「うん、だってこの気持ちは諦めきれるものじゃないからね♪」


冬聖くんはエヘヘッと窓の縁に組んだ腕を乗せ腕にほっぺをつけてみっちゃんを見つめる。


いいなぁー。私もみっちゃんみたいにアタックされたいなぁー。


「あっ!小春ちゃん彩翔来たみたいだよ?」


廊下を見ながら私に話す冬聖くん。


橋本くんが来たんだ…。


今日は朝から来てくれたんだっ!


昨日は三時間目の途中からだったし…。


「ほ…本当に来たの?」


「うん…って…あっ…ごめんオレの気のせいだったみたい…」

すまなさそうにする冬聖くん。