人の死に、時効なんてないんだ。



「そん、な……」



杏先輩は、彰介の背中を押した手を見て泣き出した。

私たち子供の証言なんて、警察は信用してくれなくて、自殺にされたあの日から、音々は人を信用しなくなった。

友達を“面倒”と作らなくなった。

私や亮英、辰己先輩を信じてくれてるみたいだけど…。



「もう、音々を傷付けないで下さい。それが出来なければ……私は先輩に、音々以上の事をしてしまいそうです」



私は「行こう?」と、音々の手を引いた。

音々は久しぶりに、私の手を握り返して来た。



―那々 SIED END―