私は後ろへと振り向き、本と板の隙間から、タツを見た。

タツは受付のテーブルに浅く腰を掛け、どうでも良さそうに腕を組んでる。

女の子は立ったまま、俯いてる。



「私…辰己君が好き…」



絞り出したような震えた声。

確実に先輩。

…綺麗。

私よりも全然、綺麗。

返事が気になるも、怖くて目を瞑り、耳を塞いだ。



「……どこが好きなん?俺、あんたの事、知らないし」



でも、タツの声は聞こえて来てしまった。

それと同時に、断ってる事がわかり、涙が溢れた。



「……っ……」



私は口を抑え、嗚咽を堪えた。

女の子はバン…ッと、力強くドアを開けて、図書室を飛び出した。