「弱いとこ見せれるのが、遥君だったらいいんだけどね」

そう言って佐奈ちゃんは、あのいたずらそうな笑顔を見せた。

「どうかな」
「わかると思うけど、芹梨もてるからね~」
「百も承知です」

ははっと佐奈ちゃんが笑う。
小さくゴンドラが揺れた。


…芹梨の弱さ。

誰だって弱いとこはあるはずだ。

でも芹梨は、それを人一倍見せない様にしているんだと思う。

あの日、気を使わせたくないと言ったその言葉に、全てが現れている気がした。


いつか、少しでも芹梨が弱さを見せてきたら。

俺は絶対に、それを受け入れようと思った。



ゴンドラが地上に戻り、外からドアが開けられる。

リズムよく降りた佐奈ちゃんは、「今日、」と降りる俺に向かって言った。

「今日、芹梨、凄い楽しんでたと思うよ」

そう言って、立ち上がった俺に視線を合わせる。

「芹梨のほっぺ、ずっとえくぼ出てたから」

そう満面の笑顔で言う佐奈ちゃんの後ろで、ゆっくりと夕陽が落ちていっていた。