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春目前とは言え、夜はまだまだ冷える。
俺は外に出る前に手にしたマフラーを口元まで引き上げ、芹梨の姿を探した。
居酒屋が連なるこの辺り、しかも土曜の夜だ。
サラリーマンらしき姿も見えるし、俺達みたいな学生の姿も見える。
たまにホストらしき人や、ホステスらしき人もいた。
みんなある程度アルコールを摂取しているらしく、テンションの高い笑い声やアルコールの臭いが充満していた。
俺は首を回し、辺りを見渡す。
芹梨を見つけられないわけがないと、何故か妙な自信があった。
辺な奴らに絡まれてなかったらいいけど…。そう思い、ふと視線を左にずらした。
今俺がいる通りよりひとつ奥。
この辺りよりはいくらか暗いその通りは、駐輪場とパーキングがある。
俺はそっちに足を向け、少し急いで歩く。
暗がりに目が慣れた頃、パーキングの横の街灯の下、マンションの花壇の縁に、その姿を見つけた。



