俺のはき出したその言葉は、部屋の中の空気をゆっくりと固めていった。
何も言わない芹梨。当たり前だ。彼女は、言葉を出す事ができない。
俺はそれを知っておきながら、自分勝手に声をはき出した。
その声は、深く二人の間に溝を落としていった。
しばらく何もない空間が続いたが、俺は「送るよ」とその沈黙を破った。
これ以上一緒にいても、お互いが辛くなる一方だと思ったから。
でも次の瞬間、芹梨は意を決したかのような表情で自分の腰に手を当てた。
俺はその予想だにしなかった行動に一瞬思考回路を遮断される。
部屋にシャッとチャックの音が響いたかと思うと、芹梨の腰に巻き付いていたデニムのスカートがかすれた音を立てて床に落ちた。



