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雨のよく降る夜、俺はベッドの上で仰向けに横になったまま何をするわけでもなく考えていた。
あの日から、俺は芹梨に連絡を入れる事ができずにいる。
本当は頭のどこかで謝らなければと思ってはいるのだが、何をどう言えばいいのかがわからない。
幸い芹梨からも連絡はなかったので、俺はその状況に甘んじてただ雨の音を聞いていた。
枕元にあるスケッチブックを無造作に取り上げて、そこに描かれている数体のデザイン画を眺める。
ひとつひとつ流れる様に視線を送り、そのままため息もつかずに閉じた。
どれも無難なものだ。何も目新しいものもないし、惹かれるものもない。
わかっていた。
でも、俺にはどうすることもできない。
…せめて新しいモデルを早く探さなければ。
そう思うものの、俺は何かぽっかり抜けてしまったかの様に、全てのやる気を起こせずにいた。
いい加減、デザイン画を完成させないと他の奴らにも迷惑がかかる。
そう思う度に、焦りだけが増していく。
霧雨の様な雨は俺の耳に優しいシャワーの様な音を届ける。
その音を聞きながら、俺は全ての問題をシャットダウンする為に、ゆっくりと目を閉じた。



