僕のミューズ


綺麗だった。
それは本当に。本当に、綺麗だったんだ。

俺はそっと芹梨の髪をすくう。
ワックスがついているのか、いつもよりもそれは固く、芹梨のものではない気がした。

膝を立てて座っている芹梨は、顔だけをこっちに向ける。
頬が半分夕焼けでオレンジに染まっている。

その頬にそっと片手を添えて、暖かみを感じた。

「…芹梨」

俺はゆっくり近づいて、芹梨はいつもの様に目を閉じた。

その表情が、綺麗で、あの白いドレスを連想させて。