先輩は受付で何やら記帳し、首から提げるタイプのパスケースを2つ受付の女性から受け取った。
そのひとつを俺に渡しながら、少し真剣に言う。
「彼女の才能をつぶしたくないって、多分このプロジェクトに関わってる人間はみんな思ってる。それだけ彼女は、逸材なんだ」
…逸材。
そうだ。芹梨は、最初から輝きが違った。
それは、彼女を最初に見つけた俺が、一番わかっているはずなんだ。
「こっち、このスタジオで、今撮影してると思うよ」
先輩はひとつのスタジオの前で立ち止まり、「パスあれば自由に出入りできるから」と言ってその扉を押した。
思ったより中は暗いと感じたが、それは裏口だからで、撮影が行われている真ん中は白く明るかった。
天井の高いスタジオでは沢山の人達が動いている。ざわついてはいないが、至る所で人の動く音が聞こえていた。



