俺はその真っ直ぐでクリアな瞳に、小さく笑って頷いた。
芹梨がオーディションで頑張っている間、俺はなんとしてもドレスのデザインを完成させたかったんだ。
一緒に頑張ってるから。そう、芹梨に伝えたかった。
芹梨は『見ていい?』と手話をする。
俺は手のひらを差し出して、『どうぞ』と伝えた。
芹梨の桜色の指先がぱらりとページを捲った。
俺は少し心臓を高鳴らせながら、彼女の反応を待つ。
芹梨は、そのページを瞬きひとつせずに見つめる。あまりにもそのままの状態で動かないから、俺は多少不安になった。
「芹梨?どう・・・」
『すごい』
スケッチブックに目を落としたまま、芹梨はそう手話をした。
そうして芹梨は、大粒の涙をぽたりとスケッチブックに落としたんだ。
俺は驚いて、目を丸くした。
『ごめん!』
芹梨はスケッチブックに落ちた涙を見て初めて自分が泣いている事に気付いた様で、急いで目元を拭う。
『大丈夫?デザイン画・・・』
「あ、大丈夫だから」
慌てて差し出されたスケッチブックを受け取り、そのまま芹梨と目が合う。
濡れた瞳が、はっとする程綺麗で。
俺はそっと、その唇にキスをした。



