僕のミューズ



……………

一階フロアに戻ると、体育館からぞろぞろと人が流れ出していた。

ショーが終わったのだ。

俺は人波の中から必死に芹梨の顔を探す。


「遥君?」


その時、人波の流れを止めていた俺を呼ぶ声がした。

聞き覚えのある声に振り向くと、そこには佐奈ちゃん達がいた。

俺は駆け寄って佐奈ちゃんの肩を掴む。

「芹梨はっ!?」
「えっ、芹梨、ちょっと行きたいとこあるから先帰っててって…」

余りの俺の剣幕にびっくりしたのか、佐奈ちゃんは目を丸くして答えた。

…行きたいとこ。

芹梨にとってこの学校で、思い入れがある場所と言えば。

「…わかった。ありがと!」
「え、遥君!?」

それだけ言って駆け出す。

背中を佐奈ちゃんの声が追いかけたが、俺は振り返らずに階段を駆け上った。


芹梨が行きそうな場所は、一ヶ所しかない。


上がる息と速まる心臓を感じながら、俺はこの学校で一番大事な場所へと向かう。


最後のショーの舞台。

学校の中心にある、講堂だ。