僕のミューズ


座ったままのあかりは俺を見上げて、少しだけ表情を歪めた。

そうしてゆっくりと目を閉じて、「ありがとう」と呟く。


「ショー…皆、真剣だった。あの日…あたしがすっぽかした事、正直…そんな、悪いと思ってなかったんだよね。たかが学生のお遊びでしょって」


「でも…」、呟き、立ち上がる。

俺の前に真っ直ぐ立ったあかりは、ゆっくりと丁寧に頭を下げた。


「今なら、わかる。…ほんと、ごめんなさい」


俺はそんなあかりの姿を見つめながら、何かがすっと軽くなるのを感じた。

あかりの肩を持ち上げ、頭を上げさせる。


「…もう、いいから。今日のショーで十分」


そう言うと、あかりの目元にうっすらと涙が浮かんだ。


「…ダメかな」
「え?」
「あたし、遥のショーのモデル、やっちゃダメかな」


一瞬、俺は固まった。

真っ直ぐに向かうあかりの視線で、遊び半分で言っていないことくらいわかる。

あかりのモデル姿は完璧だった。

多分、俺達のショーでも十二分に活躍してくれる。

それはよくわかっていた。


…でも。