僕のミューズ


三階はショーの行われている一階とは違い、しんと静まり返っていた。

時々すれ違う女の子は、どこかのショーのモデルをやった子なのだろう。

俺はそんな子達を横目に、B教室に向かった。


教室はゼミで使用する為狭く、その為後輩たちのチーム専用の着替え室として使っている様だった。

つまり、いるのはあかりだけ。

俺はゆっくりと、教室のドアを開ける。


無造作に並ぶ机と、そのお陰で少し広く出来ているスペース。
そこに置いたパイプ椅子に、まだドレス姿のあかりが座っていた。


ドアの音に気付き、視線を向ける。

入り口に立っている俺を見て、あかりは小さく微笑んだ。


「…来てたんだ」
「あぁ。…お疲れ」


俺もまた微笑んで言った。

あかりはゆっくりと体を伸ばし、ふぅっと息をつく。

「見てた?」
「あぁ」
「全力、出しちゃった」

「うん」、俺は頷いてあかりの元に向かう。

さっき買ったアクエリアスを差し出して、言った。


「最高にかっこよかったよ」