僕のミューズ


あの日のランウェイ。
高鳴る心臓。
身体中を巡る、焦燥にも似た心地よい快感。


宝物より、もっと凄い物を見つけた日。


あの日からずっと、気付いたら芹梨の事を考えている。

思考回路の片隅に、いつも芹梨がいる。

聞こえないはずの芹梨の声を、いつもどこかで反芻している。


気付くまでもなかった。

俺は、芹梨が好きだった。


体育館のざわめきが次第に収まっていき、証明が暗くなる。

と同時に、身体の芯に響く様なリズムのいい音楽が流れ出した。

ショーの始まりだ。

歓声と同時に、ランウェイにモデルが出てくる。
どこかぎこちないものの、笑顔を振り撒きながら可愛らしいチェックのドレスを魅せている。

次から次へと流れる様に出てくる女の子達。

頭の片隅で、あの日の芹梨を思い出す。


黄色い花びらが舞うランウェイ。

芹梨が一歩踏み出す度、ラベンダー色と黄色が綺麗なコントラストを描き出していた。

真っ直ぐに前を見つめるその視線。

少しはにかんだ様な笑顔。

聞こえない歓声の中、堂々と歩ききったその背中。


どの瞬間も、まるで映像を脳裏に焼き付けているかの様に、鮮明に思い出せる。