事の発端は、夕食後二人でテレビを見ていた時だった。


テレビに出るたくさんの人々を見ながら、私はニヤリと笑って彼に言った。


「世の中ってさぁ、何億の人がいるんだよね。」

「…あぁ?…まぁそうだな。」

「じゃあさぁ…」


横に座る彼に体を向ける。




「何億の中から、私たちは出会ったのね。」




キメ顔で彼の目を見る。


これは私の趣味というか、たまにベタなセリフを言って、彼の反応を見て楽しむのだ。


また照れ笑いするかな?


照れながら、「バカかお前は」って、頭をなでてくれるかな?


私は目をキラキラさせながら、彼の反応を待った。




「おぉ…。」




はい!?