「ちょっと待って下さい。城って、どういう事ですか…?」
”城に帰ったら”という事は愛里が城に行くという事を示している。
「愛里様は愛里様の城に戻られるのです。申し訳ありませんが、私と一緒に馬に乗っていただきます。」
男の後ろには確かに白馬がいた。馬の毛は愛里が今まで見た中で一番だと言うほど艶やかに輝いている。
「は、ぇ、私の城?…て言うかあなた誰!?」
今頃最初にするべき質問をした。今まで頭に収まりきらないほど不思議な事が起こって忘れていた。
「ああ、そう言えば。
私はエドガー・エルランドと申します。」
男、もといエドガーは自分の名前を言う事を忘れていた事に悪びれる様子もなく言った。

