「神だと!?」

俺は、チェンジ・ザ・ハートを掴むと、バスターモードに変えた。

「そう!」

天使は一回転すると、

「愚かで卑しく、弱い人間の魂が、救いを求めた時、我々は降臨します。人間を救う為に!」

深々と頭を下げた。

「赤星!騙されるな!」

アルテミアの声に、天使は一応キョロキョロして見せた後、

「その声は、天空の女神!あの忌々しい雷帝と!あの女の娘!!」

眉を寄せた。

「!?」

天使からいきなり、殺気のようなものを感じ、俺は引き金に手をかけた。

しかし、天使は気にせずに、自らの親指を噛み締めた。

「我々神の降臨を邪魔する為に、人間達を滅ぼそうした雷帝!そして、事実を知り、天空の女神を産んだあの女!」

天使の翼が開いた。

「雷帝だけでは、我らに勝てぬと思い!光と闇の子を産んだ!あの女!」

そして、空中に浮かび上がった。

「何の話だ?」

俺は、銃口を上に向けた。

「しかし、雷帝は死んだ!天空の女神一人で、我々の邪魔はできない!」

天使は空中で、両手を広げると、円形の建物内から、黒い煙が発生し、天使の方へ集まっていく。

「赤星!撃て!」

アルテミアの叫びに、俺は引き金を弾いた。

「な、何!?」

雷鳴と炎を混ぜた光が、天使を直撃した。

「あたしは、1人ではない!もう1人いるんだよ」

アルテミアは、嬉しそうに叫んだ。





「チェックメイト」

白い髭の男の前で椅子に座り、チェスの駒を動かしたディーンは、フッと笑った。

「終わりですよ。カトリーク卿」

そう話しかけても、白髪の男は答えない。

なぜならば、死んでいるからだ。

「弟が死にました。予定通り、たくさんの命を向こうから持って帰ってきてくれて」

ディーンは立ち上がった。

「最近は昔のように、一気に人が死ぬことがなかったですから…。この世界ではね」

笑ったディーンの背中にも、二枚の翼が生えていた。

「我々の使命をやっと果たせます。この世界を無にするという神の願いを」

そう言うと、白髪の男に黙祷を捧げた。