俺、里中哲太には幼馴染がいる。 平凡な俺に似つかわしくない程、お金持ちの佐原明という奴だ。 「お金持ち」だとか言うと明はきっと怒る。 「あたしと哲太、何が違うっていうの!?」 って。 明はわかってない。 明と俺の間には、 ラプラタ川より広い幅の川が、 エベレストより高い山が、 身分の差として存在していることを。 明はわかってない。 本当は誰より、明自身が身分の差を感じていることを。