一秒がこんなにも長く感じたのは今日が初めてだった。
告白されるのはもう慣れていた。だから奈緒子からそう言われたときも正直、心は揺れなかった。
莉子を見る度に鳴る心臓の音すら聞こえてこない。
僕は本当に生きているのか?と思い、酸素を取り込んだ。
それは体を巡り二酸化炭素として体から出ていった。
あ、僕はちゃんと生きているみたいだ。
「…突然どうしたの?」
「ずっと伝えたかったの…」
奈緒子はそう言うとずずっと鼻をすすった。
僕はあることを思い出す。
それは野中が言っていた言葉だった。
“振ったのは奈緒子だ。”
それを信じていなかった僕は今更になって奈緒子を疑い始めた。
奈緒子は最近まで野中が好きだったのだろ?
なのに僕のことがずっと好きだったってそれはおかしいじゃないか。
「ねぇ、流星くん。質問に答えてもらっていいかな?」
「えっ…なに?」
「莉子ちゃんのこと好きなんでしょう?」
先に僕の影を踏んだのは奈緒子だった。


