「おはよう、莉子。勉強熱心だね」
「おはよう、流星。この本100回以上読んでるの。でも全然飽きないの」
「へぇ!すごいね。そんなに大好きなんだ」
「うん、大好き!」
僕はあることを思い出した。
それは金曜日のこと。
莉子を探していたあの少年のこと。
僕は鞄を机に掛けて、莉子に視線を向ける。
そしてごくんと唾を飲み、声を漏らした。
「あのさ、莉子。先週の金曜日、莉子を探してた人いるよ。男の人で…」
そう言うと莉子はこちらを向いて何かを考えていた。
「あぁ、健太(けんた)ですね。あれは莉子のお兄ちゃんだよ。」
えっ、お兄ちゃん?
あぁそうなんだ。
心のどこかでホッとする僕。
え?何で今ホッとしたんだ?
莉子と彼の関係に?
それは…えっと。
どういうことなのでしょうか?
「お兄ちゃんだったんだ。なんかかなり焦ってたよ?」
「うん、莉子が勝手に一人で病院に行っちゃったから」


