母さんがいなくなったのは梅雨に入る手前のときだった。
あと少しでそんな季節となる。母さんと過ごしてきた時間より、母さんのいない時間の方が遥かに越していた。
僕はその折り紙をそっとポケットにしまい、本棚に写真集を入れた。
そして部屋に戻り僕は眠りについた。
やけに眠たかったんだ。
気候のせいかな、それとも体が疲れてしまったのかな。
夢の中に母さんが出てきた。
その中の母さんは楽しそうに笑っていた。
僕はまだ幼くて大好きな母さんに抱きしめられていた。
でも目が覚めると僕の目には涙が溜まっていて…また一人ぼっちの世界に逆戻り。
どうせならずっと夢の中にいたかった。
そうしたら僕は幸せだったのに。
翌日、蓮は迎えに来なかった。僕から連絡するのも嫌だったから一人で学校に行った。
教室に着くと蓮の姿はない。
でも莉子の姿はあった。
僕が駅で拾ってあげた天体観測の本を嬉しそうに読んでいた。
そんな姿を見たら胸がとくんと鳴った。


