この世界は残酷なほど美しい



着いたときにはもう完全に太陽は沈み月に代わっていた。
月を見上げると今日は満月だった。
僕を見守るかのように照らしてくれていた。


お気に入りの場所までは駅から少し離れた場所にある。
細い坂道を登るとブランコが見えてくる。
そのブランコに座りながら星を見るのがたまらなく好きなのだ。
思う存分星たちに癒されて、近所にあるお爺ちゃんの家に泊まっていく、というのが一人旅のプラン。
僕にとってそれは最高なのだ。


ブランコは三台ある。
僕はいつも真ん中だった。
錆びた鉄の鎖を握り、首が痛くなるのを覚悟で空を見上げる。

うん、やっぱり最高だ。


広がるのは春の大三角だった。一つ一つの星が光を出して主張する。


何だか涙が出そうになった。



母さんは星になった、とお爺ちゃんに聞かされたときからずっと僕は母さんの星を一生懸命探している。



でも10年経った今も見つけられないままなんだ。