「…えっ」



あまりにも突然すぎてしばらく考えてから花音に聞き直した。どうしたんだよ…なぜいきなり?
昨日というか今朝まであんなにも仲が良かったじゃないか。



「ちょっと…待って…何で?」



『…蓮が好きな人が出来たって…私…何がいけなかったのかな?』




電話の向こう側から花音の震える声が聞こえてくる。
花音は泣くのを我慢しているようだった。
後ろの蓮を見ると花音が今泣いているのを知るはずもなく気持ち良さそうに寝ていた。
風で揺れる金髪が癪に障った。


「今どこにいるの?」




『中庭のベンチ…』



「今すぐ行くから待ってて」



僕は花音との電話を切って一目散に中庭に向かった。



蓮に好きな人?
まさかそんなはずないだろ。
だって花音を好きになったのは蓮だろ?
蓮が花音に告白したんだろ?


付き合うことになったときあんなにも喜んでいたじゃないか。

なのに…何で別れようって言ったんだよ。



僕は蓮がそんな奴じゃないと信じていたのに。