この世界は残酷なほど美しい



野中の話が本当なら奈緒子の言うタイムリミットとは何の事だろう。
ますます奈緒子が分からなくなってきた。
でも僕は先ほど先生に言われたように自分で見たものしか信じない。
だから奈緒子から聞いたことしか信じないようにしたい。



「そうなんだ。でも僕は自分で見つけていくから。教えてくれてありがとう。あと…昨日殴ったりして悪かった」



僕は野中にこう告げて教室へ戻って行った。
教室に入り、奈緒子を探すが奈緒子の姿は無かった。
しょうがない、奈緒子の友達のポニーテールのAとメガネのBに聞くか。



「ねぇ、奈緒子は?」




「えっ見てないよ?」
「そういえば休み時間になってからずっと居ないかも」



二人は声を揃えて言う。
居ないならしょうがないと思い自分の席に向かった。
すると莉子も教室に帰ってきたらしく、机にノートを広げて鼻歌を歌っていた。



さっき奈緒子に聞かれた質問が頭を過る。




どうして日記を書くと思う?




…明確な答えは無いかもしれない。


でも…、キミならきっと。





「なぁ、莉子?日記って何で書くか分かる?」





莉子はこちらを見てゆっくりと言葉を並べた。





「日記は何年経っても消えないから…」