この世界は残酷なほど美しい



人間のダークな部分に触れてしまった。
でも僕はもっと莉子を知りたいと思ったんだ。



「まだ安野と知り合って一日目だ。これから時間をかけて安野のことを知っていけばいい。先生は何も言えないな。流星は自分で見たものだけを信じたらいい」



先生はそう言って僕の肩を叩き、職員室に入っていった。
ぱたん、と閉まるドアの音が僕に虚しさだけを与えた。


一体莉子は何の病気なのだろう?
すぐ忘れちゃう病?
いやそんなふざけた病名などありわけがない。



この憤り、どうしたらいい?
やっぱり天体観測をしに行くしかないな。

僕は諦めて教室に向かった。
奈緒子に問い詰めなきゃな。
どうして僕を一人にしたか。


教室に向かう廊下を歩いていると前からあの人が歩いてきた。それは僕が昨日殴ってしまった人だ。


そう、野中大和くん。



野中は僕の姿を見つけると顔をしかめた。
まずい、絶対何か言われるな。だって左頬がちょっと腫れているし。
そこは僕が昨日殴った場所だった。