この世界は残酷なほど美しい



何のために?
何がしたくて?
ますます分からなくなってくる。


まぁいっか。
ちょうど先生に聞きたいことがあったんだ。



「あのさ、先生。ちょっと莉子のことで聞きたいことがあるんだけど…」



「ん?どうかしたか?」



僕は先生を見上げてゆっくりと口を開く。
初めてだった。
僕が誰かに興味が湧いたのは。


「莉子って何の病気なの?」



見逃したりしなかった。
先生の顔が一瞬曇ったのを。
それは一瞬で消えてすぐにいつもの優しい教師の顔に変わった。



「…安野莉子は病気なんかじゃないよ」




「嘘だ。莉子が病気だって言ってた。」




「そう…か。安野は流星にそんなことを言ったのか。」




何だよ、どうしてそんな顔をするんだよ。
いつもの笑顔はどこいったんだよ、先生。
僕はそんな先生の顔は似合わないと思うよ。