この世界は残酷なほど美しい



自分でも驚いている。
でもこれは単なる天体観測仲間がいたという喜びかもしれない。
だって僕は恋をしたことがないのに、これが恋だなんて分かるはずもなかった。


それにこれが恋だとしたら、莉子には好きな人がいると言っていた。
実る可能性はほぼ0%だ。




「流星くん?」



「あっごめん。行こうか」




奈緒子はにっこりと笑っていたが瞳は今にも泣きそうだった。それを見てみぬフリをする僕は最低だと思う。


階段を下りながら一階の職員室に向かっている最中、奈緒子が突然こんなことを聞いてきた。



「ねぇ流星くん?日記とかって書いたことある?」



「え?日記?うーん、無いかな。どうして?」





「じゃあ何で日記を書くと思う?」




「え…気分とか?」




日記を書く理由なんて正直知らない。
書きたいから書くんじゃなくて?もっと他に理由があるというの?




「流星くんにはまだ分からない…か」




奈緒子はそれ以上言葉を発しなかった。
そんな奈緒子を疑問に思う。




だけど僕は知るはずもなかった。


隠された何かを知るのは僕が大人になろうともがいている時だった。