「いい加減、それ取ったら?」
「ダメです!取ったら余計ひどくなります!!」
僕が指差して指摘するものはおでこに貼られた絆創膏だ。
先ほどぶつけた部分に貼っている。
貼るほど大したことないのに莉子は「貼らなきゃ治らない」の一点張り。
不思議そうに見られる理由のひとつ。
「流星、あたし図書館行きたいです」
「え、いいけど。じゃあ図書館に行こうか」
「うん!」
図書館は四階の一番端にある。僕は結構この図書館を利用していた。
ヒマさえあればここにくるっていう感じ。
古くさい本の匂いに囲まれていると妙に落ち着いた。
古びたドアを開けると数人の生徒がちらほら。
僕と莉子は並んで図書館に足を踏み入れた。
「あそこに座ろうか。」
僕が誘導したのは窓側の四人テーブル。
僕の特等席だ。
「流星はよく図書館に来ますか?」
「うん、たまに。」
「ここに、写真集って置いてありますか?」
すると莉子はぐるりと図書館を見渡した。
揺れる髪の毛から香る甘い匂いがトクンと僕の心を揺らした。
莉子から香ったのはあの甘酸っぱいレモンの香りだった。


