運命は突然すぎて。


彼女を見た瞬間、僕は思わず声を漏らしていた。



どこかで見たことがある。
それもそうだ。
彼女とは昨日出逢ったのだから。
駅の階段で、僕は天体観測の本を拾った。


まさか彼女が転校生だったなんて。




「こちらは安野莉子さんと言って家庭の事情でこの学校に転校してきました。安野、自己紹介できるか?」




「はい、あたしの名前は安野莉子です。小学生までアメリカに居ました。日本語はだいぶ慣れたけど、少し発音が変かもしれません。でも仲良くしてくださいね」



挨拶が終わるとクラス全体が拍手の音で包み込まれる。
僕はしばらく彼女を見ていた。柔らかく笑う彼女に自分でも分からない感情が芽生えた。



…あの、これって何て言うのですか?
僕にはちょっと分からないのです。




「えーっと、安野の席は流星の隣!ちょうど空席になってるから。そして分からないことがあったら流星に聞いてくれ。流星に色々面倒見るように頼んであるから」



先生が言い終わると安野莉子は元気な声で「はい!」と言ってこちらに近づいてきた。