「わわ!花音いつからいたんだよ!」
慌てる蓮。
必死に花音を宥めようとするが花音は一向に機嫌が直らない。
そんな二人を放っておいて空を見続けた。
…しばらくしてチャイムが鳴った。
それを聞いた花音は慌てて自分の教室に戻っていった。
最後に「浮気したら許さない!」と残して。
そして教室はシーンとなった。みんな転校生のことが気になって仕方ないのだろう。
あのうるさい蓮でさえ今じゃおやつを待つ子供のように静かだった。
「みんな、席に着けー」
と教室に入ってきたのは沢村先生だった。
「って席に着いてるじゃねぇか。なんだ?今日はやけに静かだな。」
「先生!転校生はまだですか!?」
生徒代表でこう言ったのは後ろの席の蓮だ。
今この状態を花音が知ったらきっと蓮は殴られているだろうな。
「あぁ、だからこんなにも静かだったのか。じゃあ紹介する。入っておいで」
先生がそう言うと教室にある少女が入ってきた。
胸の下まである黒髪が春風によって靡いていた。
「…えっ。」


