この世界は残酷なほど美しい



『でも雅!お前はそれでいいのかよ!』



ヒカルの声が大きくなっていく。
ヒカルは俺を救ってくれようと必死だったのだ。
伝わってくるよ、その気持ち。
だけどね、なんだろう。



「美羽は俺を置いて死ぬわけないんだ。美羽がいなくなったら俺は誰のために生きたらいいか分からなくなる」



目の前で美羽は逝ってしまった。
それを俺は見ていた。
でも信じたくない。
さっきしたキスの余韻がまだ残っていて、温かくて柔らかくて。
美羽はまだ生きている。
そんな気がしてたまらない。


俺は電話を切り、空を見上げながら静かに涙を流した。
ベンチには昨晩できたばかりの写真集。
今日美羽に見せるつもりだったけどそんな余裕は無かった。

美羽に見せたかったな…
喜んでくれたかなぁ…



そんなとき、勢いよくヒカルが屋上に入ってきた。



「お前!いい加減にしろよ!こんなとこで何してるんだ。早く病室…に…雅…」