この世界は残酷なほど美しい



僕が出逢ってきた人の中でこんなにも人間らしい人は彼女しかいないと思う。

それくらい彼女は人間らしかった。



現代文の授業は寝て終わりを迎えた。
休み時間になり、僕は蓮に転校生の話をしようとしたが、そうはいかなかった。
次々に集まってくる女の子たち。
僕の周りは女の子一色となった。



「ええ…なに?」


突然のことで状況が掴めない。僕を見る彼女たちの目が輝いていた。



「流星くん!さっきはすごくかっこよかったよ!見てたこっちもスッキリした!」



「はぁ…」



「ほら大和ってさ、ちょっと女遊び酷かったじゃない?みんなそれにうんざりしてて。流星くんが言った言葉がかっこよかった!やっぱり大和より流星くんだよ」



頭の上に浮かぶ?マーク。
さっき蓮が言っていた株の急上昇とはこのことか。
だけど僕は嬉しくなんて無かった。
彼女たちが僕の何を知っているというんだ。
自分自身のことが分からないのに他人に僕のことなど分かるはずがない。



「おーい、流星ー」



すると遠くから僕の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。
ナイスタイミング。



「はーい」



僕を呼んだのは沢村先生だった。
こちらを見て手招きをする。
助け船を出してくれたのが沢村先生だなんてちょっとガッカリだ。

きっと処分を言い渡されるのだろう。