「おい、お前奈緒子に何したんだよ。」



流星くんに“奈緒子”って呼ばれたのはあの別れた日以来。
私のこと少しでも思い出してくれた?



「奈緒子、泣いてたんだぞ。お前が悪いことしたんだろ。お前が悪いのに何で奈緒子が泣かなくちゃいけないんだ。奈緒子に謝れよ」



ううん、大丈夫。
私も悪かったから。



「何も悪くない人が泣いているから腹が立つって言ってるだけだ。でも奈緒子は正解だったと思うよ。キミみたいな最低な人間とは奈緒子は不釣り合いだ。奈緒子ならもっと幸せになれるはずだ。別れて正解だよ」



私の幸せ…
それは…あなただよ。




「僕はキミみたいに恋愛イコール経験人数なんて、そんな頭の悪い考え方してないから。僕が告白をすべて断るのは相手に失礼だと思っているだけ。好きでもないのに付き合って相手を更に傷つけるのなら僕はそうしたくない。それに…」



そっか。
流星くんは人一倍優しい心を持っていた。



「僕が思ってる恋愛というのはどれほどその人を深く愛せたか、だから。キミにはきっと分からないんじゃないかな。」




じゃあ…わがままかもしれないけど…私を愛してください。